家賃滞納に時効がある?その成立条件と時効の中断方法をご紹介

家賃の滞納を長期間放置して一定の期間が経過すると、家賃を請求できなくなってしまいます。
今回は、家賃滞納に時効があること、またその成立条件と時効の中断方法についてご紹介します。
少し専門的な内容になりますが、わかりやすくご説明するのでぜひ参考にしてみてください。

 

□家賃滞納には時効がある?

 

家を賃貸にしていると、家賃を滞納する人もいます。
その家賃の滞納には、時効があったのです。
家賃を滞納されている状態で長期間放置することで、消滅時効となります。

消滅時効とは、一定期間権利を行使しなかったことによって、権利が消滅する制度のことを指します。
家賃を滞納していた当事者が、法律で定められている時効の期間が経過した後に、消滅時効の利用を債権者に告げることで、権利の消滅が確定します。

消滅時効が確定するためには、2つの要件を満たす必要があります。
1つ目が、法律で定められた時効期間を経過していることです。
そして、2つ目が、当事者等が消滅時効を使うと債権者に伝えることです。

賃貸のオーナーさんは消滅時効を利用されると、それ以上請求ができなくなってしまいます。
そうならないように時効が成立する条件について把握しておく必要があります。

1つ目の条件は、家賃の滞納から5年以上経っていることです。
5年間権利を行使しないと、家賃が消滅します。
この権利を、「定期給付債権」と言います。

2つ目の条件は、時効が成立するまで滞納している家賃を全く支払っていないことです。
上記で、5年で時効が成立することをご説明しました。
2つ目の条件として、その5年間の間に一度も滞納している対象の家賃を払っていないことも挙げられます。
つまり、5年間のどこかで家を借りていた人が少しでも家賃を払うことで、時効が成立しなくなるのです。

これは、家賃を支払った時点で、時効が中断されることを意味します。
そのため、時効が成立するまでの期間がリセットされたのです。

3つ目の条件は、滞納している家賃を回収するための手続きなどを何も行っていないことです。
1つ目の条件で定期給付債権についてご説明しました。
この債権は5年の間、権利を行使しないケースで消滅しました。

家賃を回収するための行動とは、内容証明郵便や裁判、督促の送付、そして差し押さえなどが挙げられます。
何かしら家賃を支払わせようと動いていたら、時効は成立しません。

ただ、上記の3つの条件が揃っていたとしても、家賃を滞納していた本人が貸主に対して「時効の援用」を行わない限り、時効は成立しないです。
「時効の援用」は時効の成立を主張することですが、これは裁判でなくともできます。

それでは、家賃を支払っていないことで住んでいる人を退去させることは可能なのでしょうか?
結論から言うと、簡単に退去させることは難しいです。
その理由は、証拠を揃えたうえで裁判所に認めてもらう必要があるからです。
裁判所に認めてもらうとしても、それなりの時間を要します。

 

□消滅時効にストップをかける方法をご紹介

 

上記では、時効が成立する条件についてご紹介しました。
5年間放置し続けて何もしていないと時効が成立してしまいます。
ただ、その時効にストップをかける方法がいくつかあります。
ストップをかけるというのは、その時までカウントされていた時効期間をリセットして、なかったことにするというものです。

1つ目の方法は、裁判上で請求することです。
消滅しそうな時効を中断するためには、滞納している人に対して、滞納している家賃の請求をすることが必要です。

家賃を滞納しているケースの民事訴訟は、まず貸主が家庭裁判所に訴状を提出することから始まります。
訴状の提出して、被告からの答弁書を待ちます。
答弁書には、請求の原因を認めるかどうかなどが記載されています。

2つ目は、支払い督促を送る方法です。
上記でご紹介した訴状の退出は、時間も手間もかかってしまいます。
支払い督促は、どんだけ連絡しても滞納している人から返事が返ってこない場合などに、とりあえず時効を中断させるために有効な手段です。
督促状は、これ以上連絡をしないと裁判を起こすといった趣旨を伝えるために送付するものです。

3つ目は、調停申し立てです。
裁判所にて双方が話し合いをすることを調停といいます。
調停をするためには、貸主が申し立てを裁判所に言うことからです。
そして裁判所から調停期日の指定があり、双方の当事者たちが調停の期日までに呼び出されます。

調停は、裁判とは異なります。
裁判は勝ち負けをはっきりさせますが、調停は話し合いによって円満に解決するために行います。
話し合った結果、話がまとまらなかったら調停不成立となります。

4つ目は、即決和解申し立てです。
これは、双方の当事者たちが和解や合意などをすると意見が一致している時に、和解の証明書を裁判所で作成してもらう手続きのことを指します。

 

□まとめ

 

今回は、家賃滞納の事項に関してご説明しました。
放置していたら時効が成立することもありますが、何か行動をしていると中断されます。
そのため、返してもらおうと何かされている場合は心配されなくて良いです。
ぜひ参考にしてみてください。

 

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※こちらは2022年4月7日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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