相続した不動産に住み続ける親族や同居人…立ち退きをお願いすることはできるのか?
相続によって不動産を取得すると、居住権でトラブルになってしまうことがあります。
不動産に親族や同居人が住み続けてしまい、住むことも売却することもできない状況に陥っている方もいらっしゃるでしょう。
なんとか立ち退きをお願いすることはできないのでしょうか。
今回は、相続の際の立ち退き要求について解説します。
□立ち退きをお願いすることは難しいことが多い
立ち退きを要求したい人物が、自分と同じ相続人である場合には、立ち退きをお願いすることは困難です。
また、その人物が相続人でなくとも、故人と賃貸借契約を結んでいる場合であれば立ち退きをお願いすることはできません。
一体どういうことなのでしょうか。
詳しく見てみましょう。
そもそも大前提として、まだ遺産分割協議を実施していない状態だと、その不動産は相続人全員の所有物となります。
つまり、誰にでもその不動産に住む権利があるということです。
そのため、相続した不動産に住み続けている方が親族で、且つまだ遺産分割をしていないのであれば、明確な理由がない限り立ち退きをお願いすることはできません。
さらに、たとえ相続人でなくとも、故人と賃貸借契約を結んでいると立ち退きを要求するのは難しいと考えられます。
賃貸借契約とは、住まいを提供する代わりに賃料を納めてもらうという、いわゆる賃貸の形態をとっている契約のことです。
この場合、借主は故人との契約に基づいて住み続けることが可能となります。
そのため、たとえ相続人でなくとも立ち退きを要求することはできません。
ただ、不動産に住み続けている方が、故人の善意で無償で住まいを貸してもらっていた場合には、立ち退きをお願いすることができます。
簡単な例だと、故人がその子供に住まいを無償で貸しているケースです。
このように無償で家を貸してもらう契約を使用貸借契約というのですが、この契約は貸主が亡くなった時点で終了となります。
そのため、遺産分割が済んだ状態で、その家に住み続けている方が相続人でないのであれば、立ち退きを要求することができます。
しかし、使用貸借契約の中で「貸主が死亡しても契約を終了しない」という旨の記載がある場合や、貸主と同居していた場合には、例外的に使用貸借契約の継続が認められます。
その場合には立ち退きをお願いすることは困難になるので、注意してください。
□立ち退きをしてもらうためには遺産分割協議をしましょう
立ち退きをお願いするには、その不動産を所有する権利が誰にあるのかを明確にする必要があります。
そのためには、遺産分割協議で話し合う他ありません。
遺産分割協議とは、相続した財産を具体的に分割する上でトラブルが起きないよう、相続人全員で遺産分割を行う話し合いの場です。
不動産は物理的に分けることができないので、換価分割か代償分割の手段をとるケースが多くあります。
換価分割とは、その不動産を売却してお金にし、その代金を相続人で分割する方法です。
この場合には誰であっても不動産に住み続けることは困難になりますから、必然的に立ち退きをする必要性が出てきます。
代償分割は、不動産を1人の相続人が取り、その取得者が自分の相続分以上に相続した分を、他の相続人にお金で支払う方法です。
ここで取得者になれたならば、自分以外は不動産に住み続けられなくなるので、今住み続けている方に立ち退きをお願いできるようになります。
どちらの場合においても、相続人全員の合意を得ることが非常に大切です。
遺産分割協議で話がまとまらなかったり、トラブルが起きたりした場合には、家庭裁判所にて分割を請求できますが、こちらはあくまで最終手段として考えておきましょう。
□所有者が決定したら立ち退き問題はどうなるか?
遺産分割協議で不動産の相続を認められた場合、不動産の権利は新たな所有者にそのまま引き継がれます。
もし未だに相続人でない方が住み続けているのであれば、立ち退きを要求して、不動産を明け渡してもらうことができるようになります。
しかし故人と賃貸借契約を結んでいる場合には、たとえ相続人が正式に決まったとしても、立ち退きを要求することはできません。
ただ不動産を相続すると賃貸人としての地位も引き継ぐ事になるので、賃料を受け取ることはできます。
どうしても立ち退きをしてもらえない場合、例外的な解決方法として、一度その不動産を売却して、そのまま不動産会社と賃貸借契約を結ぶことで借家にするという方法があります。
もし立ち退きしてもらいたい理由が不動産を売却したいからなのであれば、この方法でお互いに利害を一致させることができるはずです。
不動産会社との交渉は必要になりますが、一度検討してみても良いかもしれません。
□まとめ
今回は、相続した不動産における立ち退き問題について解説しました。
基本的に、遺産分割協議前だと不動産は相続人全員で共有している状態となりますから、まずは相続人全員で話し合う遺産分割協議を実施して、所有する人を明確にすることが大切です。
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※こちらは2022年6月4日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。