揉めないために。不動産相続でよくあるトラブル事例と解決方法をご紹介

財産のことが絡んでくる不動産は、どうしてもトラブルが起きやすくなってしまいます。
金融資産のようにキッパリ分割できるわけでもありませんし、売却して分割するという手段をとっても、1人でも反対者がいれば難しくなってしまうからです。
今回は、よくある不動産相続でのトラブル事例や解決法について解説します。

 

□不動産相続でよくあるトラブル事例と解決策をご紹介

*相続人間でトラブルになる事例

不動産は分割が難しいので、相続人の数が多くなるほどトラブルは起きやすくなってしまいます。
今まで認知していなかった相続人が、不動産相続の話になった際に急に名乗り出てくるということもあるかもしれません。
遺産分割協議は相続人全員で行わなければならない決まりなので、今までの話し合いは全て白紙に戻ることになってしまいます。

【解決策】

相続人が多数いる場合や、再婚していたり、愛人の存在がちらついたりする場合は、被相続人に生前に遺言書を書いてもらうように促しておきましょう。
最もトラブルなく進められるのは、被相続人による遺言書のみです。
すでに相続人間でトラブルが発生して話が進まなくなってしまった場合には、弁護士に頼むなど専門家の力を借りることも検討しましょう。

 

*相続した不動産を平等に分けることでトラブルになる事例

平等に分けるのだから、トラブルの要因になるようなことはないと感じてしまいますが、実はこれはよくあるトラブルの事例です。
不動産は人によって価値基準が異なり、平等に分けたつもりでもその人にとっては平等でないことがあります。
さらには、その平等の価値基準をどのように合わせるのかで意見が分かれてしまうことも少なくありません。

【解決策】

不動産を平等に分ける方法には、換価分割・現物分割・共有分割の3つがあります。
それぞれ確認していきましょう。

換価分割は、最もトラブルを回避できる分割方法で、不動産を売却して得たお金を相続人間で分配する方法です。
お金という数字として目に見える価値に変換することで、全員が同じ価値基準で相続することができます。
ただ、売却を反対している方がいる場合には難しいケースです。

現物分割は、相続する土地を分筆してそれぞれで土地を所有する分配方法です。
面積によって値は同じにできますが、方角や接道位置などが異なるので、本当に平等に分配できることはほとんどありません。
家が立っている土地では尚更難しくなります。

共有分割は、1つの土地を共有持分として分割する方法です。
相続人の数で土地を分割し、それぞれが家の権利を所有することになるので、土地活用をするのには向いていません。
共有分割だと連帯納税義務が課され、固定資産税の納付を是認で負う必要があります。
納税の度に代表者が徴収しなければならないので、そこでトラブルが発生する可能性は否めません。

 

*不動産を相続することで不均衡が起きてトラブルになる事例

例えば、親と子が同居していたとしましょう。
親が亡くなった場合、子は引き続き住み続ける選択をするのが一般的です。
必然的に自宅の土地や建物を相続する必要が出てくるわけですが、相続することで他の兄弟姉妹の相続分と不均衡が生じる場合があります。
特に、親が家や土地以外に相続財産を有していなかった場合には、事態は迷宮入りとなってしまうかもしれません。

【解決策】

不動産の相続を、諸々の事情により1人の所有にする必要がある場合には、不動産を相続した人が他の相続人に対してその価値分の現金を支払う代償分割という方法がおすすめです。
もちろん現金を有していないとできない解決策なので、事前に資金を集めておくか、早い段階から他の相続人たちの理解を得るなどの工夫をしておきましょう。

代償分割をする場合には、遺産分割協議書に明記する必要があります。
明記されていないと贈与税がかかるので、損しないために忘れないようにしましょう。

 

*遺言書に問題がありトラブルになる事例

相続のトラブルを回避するのに最も役立つ遺言書の作成ではありますが。この遺言書自体が原因でトラブルに発展してしまうこともしばしばあります。
例えば、遺言書の形式が無効であったり、特定の相続人のみを贔屓した内容であったり、相続人ではなく第三者に全財産を遺贈する内容であったりなど、相続財産の分割があまりに不平等だと相続人間でトラブルになる可能性があるでしょう。

【解決策】

まずは相続人全員で、遺言書の適法性を確認しましょう。
自宅に遺言書があった場合は勝手に開封せず、そのまま家庭裁判所に提出してください。

遺言書に記されている相続の配分に著しく差がある場合には、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分として保証されているはずの相続が侵害されているのであれば、相手に請求して遺留分額の返還を求められます。

 

□事前にできる対策はあるのか?

このような相続不動産のトラブルを避けるための対策はあるのでしょうか。
万が一に備えて、今からでも準備を始めておけば、トラブルが起きることなくスムーズに相続することができるはずです。

お母様やお父様がご健在なのであれば、早いうちから相続について話し合いをしておくのが最も有効な対策といえます。
ご両親の意思を尊重しつつ、ご自身の要求も伝え、ある程度方向性を決めておくのが理想です。

親子で合意したとしても、必ず遺言書は残しておきましょう。
口約束だと法的な効力がないので、トラブルの回避のためには遺言書を活用することが大切です。
遺留分には十分注意してくださいね。

 

□まとめ

ここでは、不動産の相続におけるトラブルの事例と解決策をご紹介しました。
相続では、価値基準の相違や相続財産の不均衡などによってトラブルが起きてしまいがちです。
生前から話し合いや遺言書の作成の対策をして、トラブルに発展しないように準備しておきましょう。

 

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※こちらは2022年8月5日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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