譲渡所得税とは?節税することは可能なのか?

不動産の売却には様々な税金がかかります。
手続き上で必要になる税金もありますが、売却で利益が出た時にのみかかる税金もあり、事前に知っておくことが大切です。
この記事では、譲渡所得税の仕組みや特例を分かりやすく解説します。

 

□譲渡所得税とは?

譲渡所得税とは、不動産を売却して利益が出た時にかかる税金のことです。
例えば、2,000万円で入手した家を2,500万円で売却した場合、500万円分利益が出ていることになり、その利益(譲渡益)に対して税金が課せられます。

とはいっても、実際に譲渡所得税という税金があるわけではありません。
あくまでも総称しているだけで、実際には「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの税金がかかるということになります。

なお、売却する物件の種類や売却理由に関わらず、利益が出れば必ず譲渡所得税が発生します。
逆をいえば、不動産を売却したとしても利益が出なかった場合には、譲渡所得税は発生しません。
売却したらまず、利益が出たのかを確認しておきましょう。

 

□要注意!譲渡所得税の税率は変化する

不動産売却における譲渡所得税の税率は、その不動産の所有期間によって変化します。
所有期間5年以下で売却した場合、短期譲渡として税率は39.63%になります。
内訳は、所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%です。

一方、所有期間5年以上で売却した場合、長期譲渡として税率は20.315%になります。
内訳は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。
短期譲渡に比べて、税率がおよそ19%も低いですよね。

これには、短期間で不動産売却を繰り返して利益を得る「土地ころがし」に対して、高額の税金をかけて利益を少しでも減らそうという趣旨が込められています。
「土地ころがし」とはいわば「転売」のようなものなのですが、関係者間で土地の転売を繰り返して地価を上げることで多くの利益を得るという行為です。
特に違法性があるわけではありません。

ただ、あまりに簡単に儲けられる構造だと、悪質な価格の吊り上げが横行し、汚職事件や脱税の多発に繋がってしまいます。
これを防ぐために、不動産売却における譲渡所得税は、短期間の所有での売却であるほど税率が高くなるように設定されているというわけなのです。

所有期間の判断は、売却日を基準に考えるのではなく、売却日の属する年の1月1日時点での所有期間を基準に考えることに注意してください。
また、不動産を相続して売却する場合には、被相続人が取得した日を引き継ぐことになることにも注意が必要です。
仮に不動産を相続してから3年だとしても、その不動産を被相続人が7年前から取得していたのであれば、それは所有期間10年ということになり、長期譲渡の税率が適用されます。

 

□譲渡所得税の節税方法3選

譲渡所得税は、不動産売却で利益が出た際にかかる税金です。
利益が出ているかは、取得費(不動産の購入代金と取得のためにかかった諸費用)と譲渡費用(不動産を売却するのにかかった費用)を加えて、売却金額と比較することで分かります。
ここで売却金額が合計額よりも小さいのであれば、譲渡所得税はかかりません。

そして注意していただきたいのが、売却益(譲渡所得)に対してすぐ課税されるわけではないことです。
実際に課税されるのは、特別控除を引いた金額に対してです。
つまり、譲渡所得税には税負担を減らす救済処置があり、上手に利用すれば節税することができます。
ここでは3つの節税方法について確認していきましょう。

 

*3,000万円特別控除

「3,000万円特別控除」とは、譲渡所得のうち最高3,000万円までは税が課されないという特例です。
特別な条件はないので、どのような不動産や人でも適用できます。
ただし、2年以内にこの特例を利用した場合は適用を受けられません。

以下で紹介する他の2つの特例と、住宅ローン控除との併用ができないことにも注意してください。
もしも不動産を売却して、次の住まいを住宅ローンで購入するのであれば、3,000万円特別控除か住宅ローン控除かのどちらかを選ぶことになります。
節税効果が高い方を選べるように、しっかりとシミュレーションすることが大切です。

 

*買い替え特例

不動産を買い換える際に使える特例で、売却した不動産よりも高い住まいに買い替えた場合、譲渡所得への課税を次の売却時まで繰り延べられるという特例です。

例えば、2,000万円の不動産を3,000万円で売却したとします。
譲渡所得は1,000万円で本来なら課税されるところですが、売却価格3,000万円よりも高い5,000万円の住まいに買い替えた場合には、課税が繰延されることになります。
ただあくまで繰り延べなので、次にその不動産を売却して譲渡所得が発生する場合には、前回の課税分が加算されることに注意が必要です。

なお、この特例は2023年12月31日までです。
3,000万円特別控除とは異なり、様々な細かい要件があるので、国税庁のHPで確認してみてください。

 

*譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例

譲渡損失とは、不動産売却で利益が出ず、譲渡所得がマイナスであることを指します。
譲渡損失が出た年は、この特例によってその他の所得と相殺し、所得税や住民税を減らす「譲渡損失の損益通算」を適用することができます。

それでも譲渡損失が相殺しきれない場合には、翌年以降も繰り越して差し引ける「繰越控除の特例」を利用しましょう。
最長3年間は繰り越せるので、売った年の損益通算と合わせて4年間は所得税や住民税が減額されることになります。

これらの特例は、住宅ローン控除との併用が可能です。
譲渡損失との相殺で所得が0になった場合にはそもそも所得税も住民税もかかりませんが、所得が発生した年には所得税や住民税から住宅ローン控除を差し引くことができます。

なお、この特例は2023年12月31日までです。
他にも様々な要件があるので、こちらも国税庁のHPで確認してみてください。

 

□まとめ

「譲渡所得税とは何か」「節税方法はあるのか」といった疑問は解消されましたでしょうか。
不動産を売却して利益が出ると譲渡所得税がかかり、税率は所有期間によって変わります。
様々な特例があるので、仕組みをしっかりと理解して上手に活用していきましょう。

 

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※こちらは2022年8月4日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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