不動産の生前贈与は非課税制度で賢く節税!

本来、相続は被相続人が亡くなってから行うものです。
しかしそれでは相続人間で揉めてしまったり、相続税がかかってしまったりする原因になってしまいます。
このような背景から最近注目を集めているのが、被相続人が存命の内に行う「生前贈与」です。
生前贈与は相続税の節税として有効な手段ですが、贈与時にかかる贈与税をなくすことはできませんので、非課税制度を上手に活用しましょう。
今回は不動産の生前贈与に活用できる非課税制度についてご紹介します。

 

□不動産の生前贈与に活用できる非課税制度

 

*相続時精算課税制度

 

相続時精算課税制度は、合計2,500万円まで非課税にできる制度です。
一般的な暦年課税では非課税枠年間110万円までという制限がありますから、不動産のような大きな資産を生前贈与したい場合は、相続時精算課税制度を活用するのが賢い節税に繋がります。

ただ注意しておきたいのが、生前贈与時の贈与税は節税できても、相続税の節税にはできない点です。

生前贈与するということは名義が変更になるということなので、被相続人にはその不動産の所有権がなくなり、被相続人が亡くなっても相続の対象にはならないのが一般的です。
しかし、この制度は言葉の通り「相続時」に「精算」して「課税する」制度のため、生前贈与された不動産と相続財産との合計額から相続税が計算されてしまいます。
相続税が発生する場合には他の方法を模索した方が節税に繋がる可能性があるため、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

また、相続時精算課税制度を利用すれば、今後は暦年課税を活用できなくなります。
2,500万円という大きな金額を非課税にできる反面、こうしたデメリットがあることもしっかり把握しておかなければなりません。
相続時精算課税制度については他の記事にても取り上げておりますので、ぜひそちらも併せてご確認ください。

 

*配偶者控除

 

夫婦間で生前贈与をしたい場合には、配偶者控除を検討してみるのも1つの選択肢です。
配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

2,000万円以内であれば非課税となり、さらに暦年課税の非課税枠年間110万円とも併用できます。
そのため、最大で2,110万円まで贈与税は非課税です。

 

□不動産を生前贈与するメリット

 

1.不動産を早めに活用してもらえる
生前贈与することで、相続で引き渡されるはずだった不動産を早くから活用してもらえるようになります。
不動産は大きな資産となりますから、早めから活用してもらえると有益ですね。

 

2.生前贈与する相手を選べる
相続では、対象が法定相続人全員となってしまいます。
不動産では特に平等に分けるのが難しいため、トラブルの原因となることもあるでしょう。
遺言書で指名するという方法もありますが、遺留分や法的な効力など様々な点に注意が必要なため難しい部分があります。

生前贈与であれば、誰に何を贈与するのかを自分自身で決めることが叶います。
生前に財産を分けられるので、相続時のトラブルも防げるでしょう。

 

3.いつ贈与するかを決められる
生前贈与では、贈与する時期を選べるというメリットがあります。
例えば「支出がかさむ時期に収入が得られる賃貸を生前贈与する」「家賃負担を減らすために住宅を贈与する」など、適した時期に不動産を生前贈与できるのです。
相続では亡くなった時点でしか不動産を引き渡せないですから、生前贈与ならではのメリットといえます。

 

4.早めの贈与で相続税対策になる
こちらは利益が発生している不動産に限りますが、早めに贈与することで贈与時以降の収益を相続税の課税対象から外すことが可能です。
次の見出しでも紹介しますが、不動産の価値が上がることが予想される場合にも大きなメリットとなります。

 

□不動産を生前贈与を検討するべきケース

 

ここまで生前贈与の非課税制度やメリットについてお伝えしてきましたが、具体的にどのような状態であれば不動産を生前贈与を検討するべきなのでしょうか。
判断に迷っている方のために3つのケースをご紹介します。

 

1.将来価値が上がりそうな不動産がある場合
相続税は、亡くなった時点での不動産の評価額から算出されるものです。
そのため、将来値上がりが予想されるような不動産の場合は、生前贈与することで将来の相続税の節税につながります。
評価額が低いうちに行ってしまいましょう。

 

2.収益を出す不動産がある場合
賃貸のように収益を出すような不動産であれば、早めに生前贈与した方が良いケースです。
賃貸によって得ていた収入は、蓄えていればそのまま相続税の課税対象となります。
前述のように、贈与時以降の収益をそのまま相手の財産とするには生前贈与が効果的です。

 

3.相続税がかからない場合
財産が相続税の基礎控除額の範囲内である場合は、非課税制度である相続時精算課税制度と相性が良くなります。
相続時精算課税制度を活用して生前贈与された不動産は、相続時に一緒に精算されて相続税が算出されるものです。
それが基礎控除額の範囲内であれば、相続税がかからないということになります。

 

□まとめ

 

今回は、不動産の生前贈与で活用したい非課税制度についてご紹介しました。
不動産の生前贈与には、

・不動産を早めに活用してもらえる
・生前贈与する相手を選べる
・いつ贈与するかを決められる
・早めの贈与で相続税対策になる

といったメリットがあります。
非課税制度を上手に活用して節税しながら実現しましょう。

 

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※こちらは2022年12月7日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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