賃貸契約における重要事項説明とは?賃貸オーナーが押さえておくべきポイントは?

賃貸経営を行う上では、さまざまな法的な手続きやルールについて正しく把握しておくことが大切です。
手続きの方法や理解が間違っていると、あとから修正の手間が増えたり、法律違反になったりしてしまう可能性もあります。
今回は、そうしたルールの1つである「重要事項説明」について解説します。
賃貸経営をお考えの方は、ぜひご覧ください。

 

□重要事項説明とは?

 

「重要事項説明」とは、賃貸物件の賃貸借契約の締結に先立って、借主に対して契約上の重要な事項を説明することです。
「重説」と呼ばれることもあり、賃貸の契約の際には必ず行われるものです。
また、この重要事項説明の際に借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」と言います。

賃貸物件の借主は、契約しようとしている物件に関して十分な情報を持っていないケースがほとんどであるため、重要事項説明を受けることにより、借主は物件の細かな情報を得られます。
また、借主は不動産に関する法律知識をあまり持っていない一般の方である場合がほとんどであるため、重要事項説明を正確・丁寧に行うことは、借主にとって不利な状況が生まれないようにするためにも重要だと言えます。

こうした説明は、入居希望者にとっては契約を結ぶかどうかの判断材料にもなるため、重要事項説明は必ず契約前に行われる必要があります。
なお、重要事項説明は法律によって定められている義務であり、借主の不利益を防ぐためにも、入居後のトラブルを避けるためにも、適正に実施することが非常に重要です。

 

□重要事項説明書の内容は?

 

重要事項説明書の具体的な内容としては、主に以下の項目が挙げられます。

・備え付け設備の状況
・更新・解約などの契約に関する内容
・敷金・家賃などのお金に関する内容
・インフラの整備状況
・物件での禁止事項
・管理の委託先
・特約事項
・ハザードマップの説明

「備え付け設備の状況」では、コンロやエアコン、照明などについて正しく記載する必要があります。
設備に関するトラブルは入居後に発生しやすいトラブルでもあるため、説明が現状と合致しているか、設備に故障や不具合がないかをきちんと確認しておきましょう。
また、故障した際の費用の負担についても明確に説明しておく必要があります。

「更新・解約などの契約に関する内容」では、契約の年数や更新料、途中で解約する場合の対応などについての記載が必要です。

「敷金・家賃などのお金に関する内容」では、必要になる初期費用を漏れなく記載します。
家賃以外に必要となる費用やその理由についても記載が必要になります。
不明点の問い合わせなどがないように、十分な説明を行うことが大切です。

「特約事項」とは、通常の契約内容に加えて、当事者間で交わされる特別な契約事項のことを指します。
契約に特約事項が付加されることで、それぞれの事情に適した形での契約ができ、万が一トラブルが発生した時に処理しやすくなったり、トラブルを未然に予防できたりといったメリットがあります。
具体的には、利用制限や利用禁止に関する特約、原状回復に関する特約、クリーニングに関する特約、中途解約や短期解約に関する特約、更新料や振込手数料に関する特約などが記載されます。
ただし、特約事項に記載すべき内容は物件によってさまざまであるため、どんな内容が必要かはよく検討する必要があります。

 

□重要事項説明で賃貸オーナーが気をつけるべきことは?

 

▼細かいことでも明文化する

 

賃貸経営をしていると、思わぬことでトラブルが発生するケースがあります。
常識的に考えて普通では起こらないようなことが起こる可能性があるのです。
そうした予想外のことが原因でクレームを受けたり、トラブルが発生したりすることもあるため、賃貸契約においては「言わなくても分かるだろう」といった考えを持つのは危険だと言えます。

そのため、法律で義務付けられている説明だけでなく、クレームやトラブルを防ぐための特約事項を明記しておくことが大切です。
特に、所有している物件ならではの特徴がある場合には、特約としてしっかりとルールや禁止事項を明文化しておく必要があります。

 

▼現状とのズレが生じないようにする

 

入居希望者は重要事項説明を受けて、説明の内容に納得した上で賃貸契約を行います。
そのため、重要事項説明の内容は正確である必要があります。
明らかな間違いでないにしても、記載ミスや現状とのズレなどもあってはいけません。
トラブルの原因を作らないために、重要事項説明を行う際には、記載されている内容と実際の状況にズレがないかどうかを改めてよく確認する必要があります。

 

□まとめ

 

今回は、賃貸契約における重要事項説明について解説しました。
入居者の不利益を防ぐためにも、クレームやトラブルを予防するためにも、正確な重要事項説明を行うことは非常に重要です。
不動産オーナーの方は、今回ご紹介したポイントにも注意しつつ、適切に重要事項説明を行いましょう。

※こちらは2023年6月7日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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