アパート経営を法人化するとどうなる?メリット・デメリットをご紹介

「アパート経営は法人化した方が良い」
賃貸アパートのオーナーをしている、あるいはこれから始めようと検討している方の中には、このような話を聞いたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。
アパート経営を法人化することにはいくつかのメリットがありますが、一方で注意するべきデメリットも存在します。
そこで今回は、アパート経営の法人化について、そのメリットとデメリットをご紹介します。

 

□アパート経営の法人化とは?

 

アパート経営の法人化とは、文字通り、アパートを経営する主体を個人から法人に切り替えることで、新たに設立した法人にアパートを所有させ、アパート経営を行う方式のことです。
近年では、個人に比べて法人の方が税率が低くなってきており、さらに法人を設立するハードルが低くなったことなどから、法人によるアパート経営が注目されてきています。

 

□アパート経営を法人化するメリット

 

1.税率が下がる

アパート経営を法人化するメリットとして第一に挙げられるのが、税率が下がるということです。
個人でアパート経営をする場合に比べて、法人でアパート経営をすると税金による支出を減らせるため、収益性の向上が見込めます。
個人の場合、高所得者ほど税率が高くなるため、所得税を多く支払っている人は特に法人化のメリットが大きくなります。
特に900万円以上の所得がある人は、法人化した方が良いと言えます。

 

2.資産を分割しやすくなる

個人でアパートを所有している場合、相続財産としてのアパートは不動産の区分になります。
一方、法人としてアパートを所有している場合、相続財産は不動産ではなく株式になります。
相続の際に不動産を分割するとなると、分割が難しくなったり、手続きがややこしくなったりしますが、株式であれば「100株ずつ」などと、明確かつ簡単に分割できます。
不動産の相続ではトラブルが起こるケースが多いですが、不動産の所有者を法人にしておけば、トラブルを防げる場合があります。

 

3.役員報酬を渡せる

個人でアパートを経営している場合、得られた家賃収入は所有者本人の所得となります。
そのため、家賃収入として儲けたお金を家族に渡そうとすると贈与になり、贈与税が課税されることになります。
しかし、アパート経営を法人化して家族を役員に設定しておけば、役員報酬として所得を渡せるようになります。
贈与税は年間で110万円を超える金額の贈与があった場合に発生しますが、役員報酬を利用して所得を移転できれば、110万円を超えたとしても贈与税が発生することはありません。

 

4.経費になる範囲が広い

法人によるアパート経営は、個人によるアパート経営に比べて経費として計上できる範囲が広いといった特徴があります。
個人でアパート経営を行う場合、経費とプライベートを分ける必要があるため、経費として計上できる範囲が狭くなります。
一方で、法人であれば会社として利益を追求する目的があるため、経費として認められる範囲が広がり、節税につながります。

 

□アパート経営を法人化するデメリット

 

1.会社設立に費用がかかる

個人事業主であれば、事業を始める際には開業届を提出するだけで手続きが完了しますが、会社を設立するとなると、設立登記を行う必要があります。
設立登記は自分で行ったとしても20万円程度かかり、手続きも複雑で時間がかかります。
また、もともと個人で経営していたアパートを法人経営に切り替える場合、不動産取得税と登録免許税も発生します。
このように、アパート経営を法人化すると節税ができる一方で、初期費用がネックになります。

 

2.維持費がかかる

会社を設立するときだけでなく、会社を維持するためにも費用がかかります。
法人としてアパート経営を行っていく場合、初期費用以外にも、法人住民税や社会保険料、税理士への依頼料などが発生します。
節税効果以上に初期費用やこうした維持費がかかってしまうと、コスト削減の効果がなくなってしまうため、法人化を行う前に慎重に検討する必要があります。

 

3.手続きに手間がかかる

会社を設立する際には、多くの手続きが必要になります。
前述した設立登記の手間はもちろん、設立後も自治体や税務署などに届け出を出す必要があります。
さらに、決算や会計業務など、個人でアパート経営をしていた頃には必要なかった作業が必要になります。
税理士に依頼するにしても費用がかかってしまうため、こうした法人ならではの手続きについてはよく理解しておく必要があります。

 

4.場合によっては損をする可能性もある

アパート経営を法人化すれば、どんな場合でも必ず得をするというわけではありません。
基本的に、アパート経営を法人化する目安としては、所得が1,000万円以上の場合だと言われています。
それ以下の小さい規模のアパート経営だと、むしろ法人化のコストの方が大きくなり、損をしてしまう可能性が高いため、具体的にどのくらいメリットがあるのかを事前に計算しておくことが大切です。

 

□まとめ

 

今回は、アパート経営を法人化するメリットとデメリットについて解説しました。
アパート経営の規模が大きい場合、法人化することで節税など様々なメリットを得られます。
一方で、手間が増えたり、場合によっては損をしたりといったデメリットも考えられます。
効果的にコストの削減を行うためにも、損をしないためにも、メリットとデメリットをよく比較して慎重に検討することが大切です。

※こちらは2023年8月31日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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